僕の隣の天真爛漫

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 剣と魔法。モンスターに魔物。ファンタジー、非日常を夢見る子どもは多い。いや、たぶん大人でもいるだろう。でも、 『また、隠すんだ?』 「そりゃそうだよ」 それと向き合っている人間はどれだけいるだろうか? 『こんな無理な隠し方、そのうちバレるよ? あと少し奥まで入ってたら見つかってた』 「いや、アイツなら平気さ。なんだかんだ、言うこと聞いてくれるし」  実際向き合ってみると、いろいろ夢とは違うものである。藍瑠の夢は、夢のままにしてやりたい。 「さっさと行くぞ、あんまり待たせたくないしね」 『そうだね』  憧れの非日常も、直面すればただの日常に成り下がってしまう。アイツには、そんな失望はさせたくない。天真爛漫、まっすぐに。藍瑠はずっと、それでいい。  夕方の町を、漆黒の大影と共に駆け抜けた。奇異の目を向けられても気にしない。さぁ、僕の日常の始まりだ。
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