0人が本棚に入れています
本棚に追加
剣と魔法。モンスターに魔物。ファンタジー、非日常を夢見る子どもは多い。いや、たぶん大人でもいるだろう。でも、
『また、隠すんだ?』
「そりゃそうだよ」
それと向き合っている人間はどれだけいるだろうか?
『こんな無理な隠し方、そのうちバレるよ? あと少し奥まで入ってたら見つかってた』
「いや、アイツなら平気さ。なんだかんだ、言うこと聞いてくれるし」
実際向き合ってみると、いろいろ夢とは違うものである。藍瑠の夢は、夢のままにしてやりたい。
「さっさと行くぞ、あんまり待たせたくないしね」
『そうだね』
憧れの非日常も、直面すればただの日常に成り下がってしまう。アイツには、そんな失望はさせたくない。天真爛漫、まっすぐに。藍瑠はずっと、それでいい。
夕方の町を、漆黒の大影と共に駆け抜けた。奇異の目を向けられても気にしない。さぁ、僕の日常の始まりだ。
最初のコメントを投稿しよう!