電子先生のお勉強。

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「でも、それがきっかけになればいいんじゃないかな?」 携Rははやしたてる家電達に亜留をかばうように言う。 「お前、捨てられたくせに何言ってる? 利用するだけ利用されて悔しくないのか?」 かばう携Rに家電達は疑問を抱く。 「悔しいよ。 だけど人間に貢献できるのも僕らの特権だよ」 携Rは亜留にチラリと視線をうつした。 「うう……。 ごめ、ごめんな。 ヒクッ……。 僕、君達の事考えなしに自分ばかりいいようにして……。 辛かったよね……。 ごめんね……」 携Rの気持ちが身に染みたのか、亜留は号泣する。 「泣かないでよ、ね? 僕らの気持ちをわかってくれただけでも嬉しいよ」 泣きじゃくる亜留に携Rは優しく声をかける。 「新しいパートナー大切にしろよ」 携Pも優しく言う。 「うん……。 ごめんね……。 そして今までありがとう」 ゴシゴシと亜留は涙を拭いてゆっくりと立ち上がった。 「さてと、金賀君もわかってくれたみたいだし皆どうする?」 いつの間にか元の人間の姿に戻っていた電子は家電達に尋ねた。 「もう満足だよ。 十分ギャフンといっただろうしな」 「ありがとうって言葉聞けたしいいんじゃない」 家電達は代わる代わるに言った。 「だってさ。 よかったね、金賀君」 亜留の方を見て電子は優しく笑った。 「僕……。 僕もっと物を大切にするよ……」 亜留はグッと握り拳を作った。 「その心忘れちゃダメよ」 優しく微笑む電子の顔が段々薄れて行く……。 ……━━ 「……夢? じゃないよな」 気がつくと亜留は自分のベットの上にいた。 そして割れたはずのガラスも元に戻っていた。 まるで……。 何もなかったかのように……。 だけど、不思議な事に夢ではない事がわかった。
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