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「今日子、一人でわたわたし過ぎ」
「はぅあ!?す、すすみません!!」
尭から注意されてしまいました。
ああ、秋も苦笑いしてます。
先輩たちの前ですから、落ち着くのです。
深呼吸、深呼吸!!
「あはは、今日子ちゃん可愛い~なぁ。ハムスターみて~」
「はむっ!?」
はぅぅ、白鳥先輩にまで笑われてしまいました。
ですが、ハムスターとは、初めて言われました。
あれ?白鳥先輩の様子が何やら……。
「本当に可愛いなぁ。庵ちゃんも……。2人とも、連れて帰っ……」
「帰 る な っ!!この馬鹿タカ」
一瞬、怪しい笑みを浮かべた白鳥先輩を、すかさず己嶋先輩が宥めました。
お二人とも、とても仲がよろしくて素敵なカップルです。
「馬鹿タカの戯れ言は気にしないでくれ。それより、1つ聞きたいんだが」
「あ、はい」
「どうして、わざわざオレの所に入部届けを持って来たんだ?顧問が誰かぐらい知ってるよな」
はい。
ごもっともな疑問ですよね。
本来なら、入部届けは顧問の先生に渡すのが最善です。
「それは……」
私は思わず、庵ちゃん、尭、秋、そして白鳥先輩を密かに見ました。
なるべくなら、皆さんの前では口にしたくない理由なのですが。
「かな。剣術部の話なら、あたしは席外す」
私の挙動不審な視線から察して頂けたのか、そう言って、白鳥先輩は教室を出て行きました。
先輩の配慮に感謝です。
後程、改めてお礼に伺わねばいけませんね。
私も、きちんと話さないと駄目ですから、まずは……。
「庵ちゃん、尭、秋。ごめんなさいです。私、己嶋先輩たちと、お話ししないといけないので、教室に戻っていて頂けますか?」
私のその申し出に、秋と尭は何も言わず頷いてくれました。
唯一、庵ちゃんだけ、心配そうに首を傾げてしまったので、私は笑い返します。
大丈夫です。
心配ご無用なんです、庵ちゃん。
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