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先輩たちも、反応に困ってらっしゃいますよね。
「突然、取り乱してしまって、申し訳ないです……。本当は、こんな不純な動機で入部しても宜しいかどうか、先輩に相談したかったのですが……」
反省です。
ああ、どうして私はもっと、しっかりして、落ち着けないのでしょうか。
はれ?目の前に、綺麗にアイロンがけされた白いハンカチが差し出されました。
視線を上げると、ハンカチを差し出していたのは、皆守先輩でした。
「どうぞ、使って下さい」
ニッコリと、皆守先輩が優しく微笑みかけてくれます。
私は、先輩の好意を受け、ハンカチを受け取り、涙を拭きます。
あ、洗剤の香りが、ほのかに残ってます。
きっと、お母様がお洗濯がお上手なのでしょう。
「ありがとうございます、皆守先輩」
「いいえ、お気になさらず。でも、お話はだいたい解りました。ね、要?」
そう言って皆守先輩が、要先輩に話を振ります。
要先輩は、ちょっと難しい顔で考え込んでいました。
「……まぁ、そうだな。剣術部の稽古は、とても生半可なもので出来る代物ではないんだが。下手したら、大怪我するかもしれないし」
「はい……」
要先輩の言葉を、私は素直に受け止めます。
要先輩も皆守先輩も、きっと真剣に剣術に取り組んで、絶え間ない努力をして来た方たちです。
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