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それ以上に、見ているだけは嫌でしたし、寂しかった。
「えと、申請は部活顧問の先生にするんですよね?」
「んー、普通はそうなんだろうけど、剣術部は基本的に部長が仕切ってるらしいよ」
私の質問に答えてくれた庵ちゃんの話に、秋と尭も剣術部について話してくれました。
「此処の剣術部は有名だよな」
「まぁ、顧問の先生はもちろん。部長と副部長も、この学校の人なら、知らない人の方が少ないんじゃない?」
聖桜学園は、武術や武道に秀でた生徒や先生が多いって、入学前の、学校案内パンフレットで読んだ事があります。
そんな中でも、剣術部は特に凄い人たちの集まりと言う噂も、以前、聞いたような……。
「そうそう。確か、3人とも二つ名で通ってるんだっけ。えーと、なんだっけ……」
「部長は己嶋 要先輩。赤い髪が特徴で、『斬撃の悪魔』と呼ばれてる」
尭が、ど忘れした庵ちゃんに代わって説明してくれました。
でも、己嶋先輩、『悪魔』とは、そんなに恐い人なんでしょうか。
そんな私の不安を察してくれた秋が、すかさずフォローに入ります。
「心配すんな、今日子。己嶋先輩は優しい人だから。ただ、見た目とギャップがあるだけなんだよ」
「はい、ありがとうございます。秋」
どうやら秋は、己嶋先輩と面識があるようですね。
情けないですね、私は。
決意したばかりですのに、ちょっとした事で不安になるなんて、もっとしっかりしませんと。
「副部長が環 皆守先輩。己嶋先輩の従兄弟で、二つ名は『剣撃の貴公子』。入学式で、ちらっと姿を見たけど、綺麗な人だったよ」
「んで、最後に顧問の先生。ほら、日本史の結城 麗漓先生、あの人だよ。古流剣術・結城流剣術の現師範代で、二つ名は『美しき獣』」
尭と庵ちゃんが話してくれました副部長と顧問の先生の事。
私も、日本史の結城先生は知っています。
女性から見ても、とてもお綺麗な方で、でも気さくな先生です。
「女性なのに、一騎当千。文字通り、千人相手にしたんだって」
凄いよねと、庵ちゃんが羨望の眼差しで言います。
結城先生の武勇伝は、私たち1年生の間でも有名ですから、当然ですね。
そんな凄い先生や先輩たちに教えてもらえたら、強くなれるでしょうか?
いえ、絶対に強くなるんです。
もう、弱いのは嫌です。
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