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「よし!出来たっ!」
結局出来上がっものは、合計1000円にも満たない食材で作れるカレーだった。……
「まぁ、料理は気持ちが大事だからいいよね」
自分自身を納得させるかのように通子がそう言った時、玄関が開く音がした。
「ただいまぁ!」
「おかえり、早かったね?今日はカレー作ったんだ」
「おおっ、ご飯作ってくれるのなんて久しぶりだな。前に作ってくれたのは2ヶ月位前だったかな…………あの時もカレーだったけど……」
気持ち肩を落として彼氏がそう呟いた。
「うるさいっ!作った事をまず褒めなさい!」
「はいはい……ありがとな」
彼氏はそう言った後、思い出したかのように一通の封筒を通子に手渡した。
「これ、今マンションの入り口の前で渡されたよ。お前にって……」
「私に?……誰からだろ……」
「なんか、お前の中学の時の同級生って言ってたな……冴えない感じの男だったぞ。……浮気か?」
冗談ぽく彼が言う。
「馬鹿じゃないの。……
って、誰だろ……」
通子が封を開ける。
「何、この気色悪いハガキは……」
黒い下地に、赤色の文字で書かれているハガキを取り出し、道子は眉間に皺を寄せた。
「ん……【藤森 通子様】って書いてあるから、間違いなくお前にだな」
ハガキを手にした瞬間。……
何とも言えない不安な気持ちが、通子を襲っていた。……
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