運命のいたずら

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「っはぁっはぁっ」 嫌な記憶とともに私は眠りから覚めた。 まだ心臓がバクバクいっている… 汗がどっとでて体が震えていた。 「また…この夢か…」 私は手で額を覆い心を落ち着ける。 「ふぅ…よしっ」 勢い良く起き上がり、嫌な記憶を振り払う。 時計を見ると… 朝の7時を回っていた。 「やばっ!」 いそいでパジャマを脱ぎ、壁にかかっている制服を手に取る。 制服を5分という早業で着替え、急いで部屋を出ていく。 ガンっ 「うぎゃあ」 ドアの角に足をぶつけた… これ地味に痛いんだよね… 若干飛びはねながら廊下を走る。 (なんでこんなに広いのよぉ泣) なんとか広間まで辿り着き、そこにいた、いかにも執事ですって感じの人に話しかける。 「こら、セバス! 起こしてって言ったでしょ!」 「…」 セバスは目を閉じて微動だにしない。 「セバス~? 聞いてる?」 すると… 目をかっと開き 「お嬢様、私は目覚まし時計ではありませんぞ。もう良い歳なのですからご自分でお起きくださいませ。だいだい花園家の当主がこのような醜態をさらすなど言語道断!さらに言わせて頂きますと…」 セバスは鋭い眼で口髭を震わせながら捲し立てる。彼は祖父の代から花園家に仕える執事だ。 祖父が亡くなり私が当主になった今でも私に仕えてくれている。 まぁ…小言は絶えないし凄く厳しいけど有能な執事だ。 私の家は代々様々な事業に挑戦し、成功を納めてきた一族らしい。両親は既に亡くなり、引き取り手のない私に手を差し伸べたのは祖父だ。 まさかこんなに金持ちだとは思わなかったけど… 祖父が亡くなった後、遺産について沢山揉めたけど… 決め手は祖父の遺言だった。 『全財産を孫娘の沙耶に』 両親が既に亡くなっていた私は親の知り合いの家に厄介になっていた訳だけど……突然セバスがやってきて『お迎えに上がりました。』 とかいって強引に連れてこられた。 んで今に至る。 それから私はあらゆる教育を受けさせられ、花園家に相応しい当主にさせられた。 「お嬢様…?」 いつの間にか説教が終わっていたらしい。
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