花はささやく

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 庭へ出ると、あふれだすように一面の花々が才円を迎えてくれた。  その中央には背の高い木が大きな影を庭中に落としていて、ヒンヤリとした風が才円の頬を撫でていく。  時折、遠くから、かすかにこの店の呼び込みの声が聞こえて来るが、それ以外は時が止まったかのように静まり返っていた。  才円は、とにかく愚霊が忍び込んだ倉を調べてみたかった。  そこに、何か事件の手掛かりがあるかもしれないと思ったからだ。 「さいえんすの捜査は、やっぱり現場検証が基本だろうからね……」  才円はつま先立ちしながら、とにかく倉のある場所を探して回った。  すると、庭を大体一週した頃、土を踏み荒らした複数の足跡が、アリのように一列にどこかへ向かっているのが目に入った。 (これだ!)
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