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どこか挑発的な彼の言葉に、匡介は友人と顔を見合わせ呆気にとられながらも、頭の中で素早くリアクションを選んだ。
1、へぇどんな感じなんだとせせら笑う
2、無視する
3、話を聞いていたことについて怒ってみる
脳内でこの三つの選択肢を吟味した匡介は、この中のどれでもない反応を示した。
眉をひそめ、「分からない」というような反応を示した後、再び友人と向き合ったのだった。
友人との雑談を中断させず、挑発的なクラスメートとのトラブルを避けるという意味では、まずまずの反応だったと思っている。
また、こんなこともあった。
六月末の体育祭のクラス対抗リレー。
四人の走者は、トラックに立ってバトンの練習をしていた。
―匡介、バシッと渡してくれよ
匡介がなんで今まで伸と喋っていると、どこかむず痒い気持ちになったのかが分かった。
「なぁ、なんでお前はいちいち俺を名前で呼ぶんだよ。そんなに呼ばなくても俺に言ってるってことくらい分かる」
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