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ミーンミンミンミンミン
「うるさい…そして暑い…滅べ夏…」
夏だ海だ青春だあ!夏キタやふー!!
なーんて喜ぶのは、熱血主人公きどりやらスポーツ大好き野郎やら、ごく少数の特殊なやつらだけで、
夏を嫌いだーまではいかなくても、好きだー、なんて言う人間は、ほとんどいないんじゃないかって思う、実際。
「あぢー…」
ミーンミンミンミンミン
暑いしか出てこない俺の呟きに応えてくれるのは、五月蝿いくらい夏を主張する蝉だけ。
本当クソ暑いけど、俺は結構この時間が好きだった。
一日のうちたった30分ほどの、安息。
いつもと同じ時間、いつもと同じ道のり、いつものように一人、
学校から家への帰り、遠いとも近いとも言えない微妙な距離を、暑さと戦いながらひたすら歩いていた。
それは平和とも怠惰とも言える、毎日繰り返す変わらぬ当たり前の俺の日常。
そんな変わらぬはずの日常に、突然”非日常”が飛び込んできた。
と言うのが一番わかりやすい表現だと思う。
その”非日常”は一応人の形をしていた。
ただし、ものすごく派手で鮮やかな色彩を引き連れて。
照り付ける太陽と仲良しさんのアスファルトが、
傾いていく太陽にかわって、熱を放出し続ける。
そんなアスファルトに一人。
そこには、大変派手な服を着た
ピエロがいた。
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