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もちろんこんなシーンも彼女は小説の中で見たことがある
だからこそ
彼女には青年の姿が運命の人みたいに思えたかもしれない
絶体絶命の窮地を救ってくれた恩人
その人をもう少し知っていたくて
「あ、あの、ありがとうございます。助けてもらって」
と、ありがちな流れで攻めてみようとした
が、
「・・・・・・・・・」
無反応
さらに青年は一言も言わず歩きだす
しかし、
それでも諦めない
「あの!お礼がしたいんですけど」
追いつき横から言葉をかける
だが、
「・・・・・・・・・」
再度無反応
少しいらっとしたがよくあるパターンだ
そう思った彼女は青年の前に回り込む
そして
「名前、教えてもらえません?」
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