2撃

7/7
前へ
/12ページ
次へ
【英雄派】少女視点 撃った 初めて人を撃った。 狙ったわけではなく、ただ怖くて乱射しただけ。 それでも、撃ったことには変わりない。人を、撃ってしまった。 敵だから、問題ない、むしろ褒められるべきこと。 なのに、震えが止まらない。いいことをしたのに、身体が震えて止まらない。 なぜか。 やってはいけないことだと、わかっているから。 あのショットガンの少女もそこはわかっているのだろう。だって、倒れている仲間は、誰一人として血を流していない。 ショットガンの弾、それは 非殺傷弾【ゴムスタン】だった。 殺してはいけないと思っているから。または、殺したくない、と思ってるから。 でも、ぼくは撃った。 凶悪な9mm弾で、相手の身体を撃ち抜いた。 それを理解すると、恐怖と怒りが満ちて行く。 自分自身への怒りや恐怖 ではなく。 怒りの矛先は、 こんな状況に自分を追い込んだ【英雄派】上層部という存在に。 恐怖の剣先は 今、目の前に迫っている小さな少女に。 ぼくは、死にたくない。 ぼくは 絶対に こんなくだらない戦争のせいで死んだりはしない。 そして、殺したりはしない そう決心すると、その少女、比島結友(ひとう ゆう)は走り出す。 自分が今しがた撃 った、青年の元に。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加