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【英雄派】少女視点
撃った
初めて人を撃った。
狙ったわけではなく、ただ怖くて乱射しただけ。
それでも、撃ったことには変わりない。人を、撃ってしまった。
敵だから、問題ない、むしろ褒められるべきこと。
なのに、震えが止まらない。いいことをしたのに、身体が震えて止まらない。
なぜか。
やってはいけないことだと、わかっているから。
あのショットガンの少女もそこはわかっているのだろう。だって、倒れている仲間は、誰一人として血を流していない。
ショットガンの弾、それは
非殺傷弾【ゴムスタン】だった。
殺してはいけないと思っているから。または、殺したくない、と思ってるから。
でも、ぼくは撃った。
凶悪な9mm弾で、相手の身体を撃ち抜いた。
それを理解すると、恐怖と怒りが満ちて行く。
自分自身への怒りや恐怖
ではなく。
怒りの矛先は、
こんな状況に自分を追い込んだ【英雄派】上層部という存在に。
恐怖の剣先は
今、目の前に迫っている小さな少女に。
ぼくは、死にたくない。
ぼくは
絶対に
こんなくだらない戦争のせいで死んだりはしない。
そして、殺したりはしない
そう決心すると、その少女、比島結友(ひとう ゆう)は走り出す。
自分が今しがた撃 った、青年の元に。
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