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「よし、そんなもんでいい!走れ!」
閖の圧倒的な攻撃の前に、敵の形態が崩れ始めたのを見て、俺は叫んだ。今なら逃げ切れる!きっと!
…多分!
「えぇ~、もうちょっと潰してたいんだけど…」
そういいながら、閖はサイガを撃ちまくっている。閖の手によって改造されたアサルトライフルのようなショットガンは、改造によって手に入れた3点バースト機能を駆使して敵の制圧に勤しんでいる。
「おい、もう散り散りになってんじゃんあいつら!これ以上やるとこっちが罪悪感で死にそうになるからやめろ…さっさと逃げようもう…な?」
最後の方は懇願になっていた。
「うぅ…バカ兄が言うなら…」
「やめてくれるか?」
「…うん」
閖はよく俺を慕ってくれる。毒舌家で、よく罵ってはくるけど、根はいいやつなのである。
…そうだと信じたい。
「じゃあ、さっさと帰ろう!本来の目的の偵察はお前がショットガンぶっ放した時点でもう中止確定だし」
そう言うと、後ろで倒れている敵を放置して走り出した。
タァンッ
いきなり鳴り響いた銃声。なにが起こったのか、理解できない。だが、自分の背中から流れる血と、後から迫ってくる焼印を入れられたような痛みが、撃たれたことを物語っている。
「あっ…がぁッ」
とてつもない痛みに悶え、転げ回りながらもなんとか後ろを振り返ると、震えながらSMGを構えている女子がいた。多分中学生くらいだろう。その少々幼い顔には、恐怖が張り付いている。
「……バカ兄…?」
閖が、なにが起こったかわからない、といった表情でこっちを見ている。
が、すぐにその表情は消え去り、憤怒の表情に切り替わった。
ぷつん、と、音が聞こえた気がした。
「うわぁあぁああぁあああ!!!」
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