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紗由に私の思いを打ち明けてから数日がたったある日の出来事である。
学校で6月に備えた修学旅行についての説明を聞いている時だった。
講堂に3年生全員が集まって話を聞く。
そんな説明が終わって講堂内が少しざわめきついた時のことである。
この日たまたま私の3個ほど右の席に井口が座っていた。
すると、突然井口が話かけてきたのだ。
井口と話したのはこの日が初めてではなかったのだが、私は突然すぎて驚いた。
今まで必死に井口にしゃべりかけてみようとか自分の中で精一杯努力はしてきた。
しかし、井口自身から私に会話を持ちかけたのは、なんだか初めてな気がしてならなかった。
私は嬉しかった。
そして、井口はこう言った。
「霧島、これアドレスなんだけど、登録しとけよ。」
そう言って井口は自分のアドレスの書かれた小さな紙切れをそっと渡してきたのだ。
私はあまりにも突然の出来事に喉が詰まってなかなか声が出なかったが、小さな声で
「ぉぅ、わかった。」と言った。
何故、何故井口は私なんかにアドレスを.....。
でも私はこの時とても嬉しくてたまらなかった。
なにせ、好きな人からアドレスを教えてもらったのだから。
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