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しかし、こいつには感謝している。
おかげで中学校三年間を楽しく過ごせたし、部活でも散々俺を助けてくれた言わば恩人なのだ。
「ん、どうした?」
「なんでもねぇよ。」
俺はその時笑っていたと思う。
***
試合も大詰め、4Qに入った。
只今の点数は105ー106、僅か1点差で東雲高校が負けている。 残り時間二分。
「やべぇな。」
京谷が弱音を吐くほど今の試合状況は緊迫している。
「残り30秒で勝負をかけるぜ。」
「なんで分かるんだよ、和人。」
「佳奈は昔から集中力が切れた頃を見計らって攻めてきたからな、相手チームの集中力はそれくらいで切れるはずだ。」
「ほんとかね~」
「俺を信じろよ。」
そんな会話をしている間に残り時間30秒、俺の思惑通り、佳奈にパスが回り、佳奈がドリブルを開始、流石に相手もその行動を読んでいて、佳奈に二人のマークがつく。
「終わったな。」
京谷の言葉に俺は自信を持って答えた。
「あぁ、佳奈たちの勝ちだ。」
佳奈はその場で踏み切りシュート体制、相手選手も止めにいくが、佳奈の跳躍力に勝てるはずもなく、佳奈の放ったシュートがゴールネットを揺らす。
その瞬間、試合の終わりを告げるブザーが会場内に鳴り響いた。
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