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「なんだよ、エースがこんなところにいてどうするんだよ。」
「君こそ、エースの自覚はおありで?」
正直、自分がエースだなんて思っていなかった。
京谷もいるし、強豪校のため他の中学から選りすぐりの選手が引き抜かれている。
でも、分かってた。
俺は他のやつらに比べて"異常"だということに。
「俺以外にもうまいやつなんて何人もいるだろ。」
「でも、その中でもずば抜けてるのが和人だよ。
だから、練習でなくても試合出されるでしょ?」
こいつの言う通りだった。
最初は佳奈たちと一緒に居たいがために始めたのだが今ではこの状況、自分が異常だと認めざるえない。
「もう、バスケ辞めようかな。」
思ってもないのにその言葉が口からでた。
「そんなこと言わないで……。」
「佳奈?」
その時、佳奈の様子がいきなり変わった。
顔を伏せていて表情は確認できないが、明らかに悲しいんでいるようだった。
「どうしたんだよ?」
俺は起き上がり、佳奈の側に寄る、すると…
「!? おい! 佳奈!。」
佳奈が俺の胸に飛び込んできた。嗚咽が聞こえる、泣いているのだ。
「嘘でも…そんなこと言わないで…。」
「え?」
「嘘でも…バスケやめるなんて言わないで…。」
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