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「止めろ!」
鐵太郎の声に、電マを持ったまま倒れ込んでいたひとりの女性客が不気味な笑みを浮かべる。口から胃を垂らしたまま女は立ち上がった。
「止めて欲しければこれ以上私の邪魔をするな」
「うおぉっ!」
女に向かって鐵太郎が飛び掛かる。勢いよく倒れ込んだ女のスカートと下着を片腕で破り、背後から思い切り突き刺した。
その瞬間、照明の点灯も納まり、リリコの恍惚の声が響き渡った。
「あぁ、私のやりたかった撮影は、器具等使わぬ生身の男女のみの健全な行為!」
その声は喜びに溢れていた。鐵太郎も激しくなる。
「わがっちゃーいな。皆本当は家電だのさたよりてぐねんだはんで。なーたんげ暴れだはんで電マ使うんずも減るびょん」
リリコの霊は、有り難うと言い残した後、すっと姿を消した。
そして、何も知らない一般客の白い目が、一斉に鐵太郎に集まる……。
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