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それはもちろん情報を漏らさないため。
そして、最後に、一般から書類審査と受験で入学を許される、高等部。
エスカレーター式での入学者ももちろんいるが。
この高等部に〈一応〉一般から入学が決まった、1人の少年がいた。
その少年の名は、水城 奏太 〈みずしろ そうた〉、15歳。
身長175cm。
奏太はフェリーから降り、慣れた様子で身分証を係員に見せ、足早に巨大な門をくぐった。
彼は一般からの入学であるが、ここに立ち入るのは初めてではない。
前にここにいたことがあるのだ。
そうなると、色々な疑問が生じるかもしれない。
さっきの説明には『20歳未満の出入りは出来ない』と書いてあるのだから。
だが、奏太には特殊な事情がある。
・・・・・・・このことは、後々話していくとしよう。
奏太は少しも迷う事無く、高等部にたどり着いた。
もうすでにたくさんの入学者が着いていて、玄関前に貼り出されたランク・クラスわけの表を、我先にと覗いている。
奏太は無理に見に行こうとはせず、入学式の開式ぎりぎりまで待つ事にした。
中庭は小さな公園になっていて、ベンチがいくつかあったので、そこに腰を下ろす。
奏太の親しい友達は全員一般の高校へと進学していったので、暇つぶしに話ができる相手もいない。
ちょうどその時、真後ろから声が降ってきた。
「なぁ、隣座っていいか??」
面倒だったので反り返って声の主を確認する。
そこには、子犬のような人懐っこい印象を与える少年が立っていた。
身長は165cmくらいで小柄。
ニコニコと笑っていて、本当に犬にしか見えない。
「あぁ」
と短く返事を返して、奏太はもとの体勢に戻った。
その少年は奏太の隣に腰を下ろすなり、いきなりマシンガンのように喋り出した。
「オレは柴田 賢〈しばた けん〉!よろしくな!お前はなんていうんだ??」
「水城 奏太。よろしく」
「奏太はあの表、もう見てきたか??」
「いや、まだ見てない」
ランクわけというのは前ページに表記したものである。
ここでは、信じられないほど位がはっきりと分けられる。
厳しい実力主義社会だ。
奏太は自分がどこに配属されるか、大体は予想がついている。
(過去が過去だからな・・・・・グリーズか、もしくは・・・・・。)
「おっ!すいてきた!見に行こうぜ!」
回想を中断され、賢に引っ張られてベンチから立ち上がった。
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