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僕はこの辺りの大学に通う学生で、今年で二十歳になる
少し跳ねた茶髪に黒縁の眼鏡
それ以外にはこれといって特徴もない平凡な人間
性格も保守的で消極的、どこにでもいそうな本当に平凡な人間だ
毎日を同じように過ごし、今日も同じ時間に帰路につく
周囲の雑踏に盲者用信号機の音、何も代わり映えしない光景を通り過ぎ
僕は電車に乗って自宅へと帰る
駅の改札を何食わぬ顔で定期券を翳し通る
ホームで普通の電車に乗るために快速電車を見送り
携帯電話で先ほど見たニュースを調べる
あれは確か一週間ほど前の話だった
裏の世界でちょっとした暴動があって警官数名が死傷
これを内乱の前兆として近々また起こるのではないかと言われている
外からは安全でも内側は物騒というわけだ
ここから結構近いところで起こっていたみたいで
他人事のようには思えなかった、それでも目を逸らすことしかできない
それが僕には歯痒くて、情けなかった
いっそ巻き込まれてしまえば何かが変わるかもしれない
そう考えてもやはり踏み出せない僕がいた
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