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今度は快速電車に乗って来た道を引き返す
さっきよりも早く景色は流れていく
この車両には自分以外には誰もいなかった
もう何も考える気力が起きなかった
ただ通り過ぎる景色を眺めていた
やがて降りる駅に着いた、しかし既に普通電車の終電はなく
僕は少し長い距離を徒歩で帰る羽目になった
改札を抜けて駅を出ると周辺の店はほとんど閉まっていて
灯りはほとんどなかった、あんなニュースを見たあとだったから
ガラの悪い輩がいないかと少し不安になった
ほんと、今日はついてない…そう愚痴を零す
暗い夜道をトボトボ歩き、しばらくすると
一級河川に架かる橋にさしかかった
橋を渡っていると時折車が通り過ぎていく
ふと前を見ると、一瞬車のライトに照らされて
向こうの方に何か大きなものが転がっているのが見えた
近づくにつれてそれが何なのかが見えてくる
僕は動揺した、それが人だなんて思いもしなかったからだ
こんな時間にこんな場所でどうして、事件か何かか、
いや今はそれどころではない、僕は慌てて傍に駆け寄った
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