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それから、ノリちゃんに秘密にしていた事全部正直に話した。話し終えると難しい顔をしたノリちゃんがため息をついた。
「ねぇ、クルミ?何で隠してたの?」
絶対一番に聞かれるのはそれだとわかっていたけど、こんな顔で聞かれるとは思わなかった。
「坂下くんの事だし」
「それだけじゃないでしょ?」
「う、」
私のこんな言葉でだまされるようなノリちゃんじゃない。わかってた、けど。
「後ろめたい事があるから?」
「違うっ」
後ろめたくなんてない。
「クルミ?」
「……だってノリちゃん。坂下くんはダメって言ったから」
そう。あの頃のノリちゃんは少し様子が変だった。
そんなノリちゃんに本当の事は言えなかった。
ううん、言えなかったってだけじゃない。やっぱり私は
「クルミには、あんな時間を過ごさせたくなかったから。だけど今なら」
「今なら何?!」坂下くんもノリちゃんも今頃言うなんておかしい」
「え?坂下?」
やり直しなんてできない。
今なら坂下くんと一緒にいてもいいなんて言わないで欲しい。
私には先輩がいて、坂下くんが好きだったのは中学の時で。
事実は変えられないし、過去にも戻れない。
「だからもう、二度とそんな事言わないで」
「クルミ……」
強い調子で言った私に、ノリちゃんは名前を呼んだだけで。2人しか居ないこの席で気まずくなったのは当然で。
「ちょっとトイレ、いってくる」
冷静になりたくて、ちょっとだけ時間をおけば、きっとノリちゃんともきちんと話が出来るはず。
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