再会の夜 2

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中学生の当時、私は携帯電話は持ってなかった。 全員が持っているわけじゃなかったし、部活の連絡網は家の電話だった。 だから彼に直接連絡するなんてこともなかった。 あの時欲しかった繋がりが、近付いてはいけない今この手の中にある。 彼はただ懐かしくて話しかけてきただけ。 頭の中でそう言い聞かせる。 "うまくいってないらしい" ユキの言った言葉がまた頭の中に浮かんでくる。 そんなのただの噂かもしれない。 それに彼、きちんと左手の薬指に指輪をしている。 ただ懐かしいだけ。 その懐かしさを少しだけ共有したいだけ。 先輩と彼の話を聞きながら、なんとなく相槌を打ち一緒に笑う。 大丈夫。懐かしい仲間として振舞えてるはず。 「大会の当日は見に行けないな」 たしか9月の日曜日だった気がするけど、今では顧問の先生も知ってる人も一人もいない。だからわざわざ見に行くのは躊躇われる。 「たぶんその辺り仕事忙しいから予定組めないしな」 どうやら二人とも忙しいらしい。 「まぁあれだ、結果出た後で飲みに行くっていうのでどう?」 「その方が都合がいいですね」 「クルミは?」 「はい、私はお二人に合わせますよ」 うん、これはもう社交辞令でも何でもなく。飲みに行くの決定なんだな。
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