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中山さんの姿を無意識に探してしまう。
しかし彼女の姿は見当たらず、今日もあまり話せなかったと子供じみたことを考えてしまう。
最後の1人も帰り、部署には俺だけ。
早く終わらしてしまおうと再び姿勢を戻すと、ガチャリと扉が開いた。
誰かと思い視線を向ければコーヒーのマグカップを持った中山さんだった。
「お疲れ。まだのこってたの?」
「お疲れ様です。もう少しで終わりそうなので…これ、よかったらどうぞ」
そう言って彼女は甘い香りが漂うミルクティの入ったマグカップを俺に差し出した。
「ありがとう」
俺は内心、浮かれているのを隠して冷静に受け取る。
すると彼女はたちまち笑顔になった。
「部長、お仕事大変ですか?」
「え?どうして?」
急に眉を下げ、心配顔で遠慮気味に聞いてくる中山さん。
「すごく疲れた顔してます…」
「そうかな…まぁ最近忙しいからね」
俺は自嘲気味に笑いながら答えた。
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