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「ねぇ、中山さんは、彼氏いるの?」
帰りの車内で俺はずっと聞きたかった事を聞いてみた。
これで、いますって言われたら相当ショックだけど。
信号が赤に変わり、ゆっくりと停車する車。
俺は中山さんに視線を向ければ案の定真っ赤な顔で、「いません」と答えた。
…なんだ、いないのか…。
俺の中に沸き起こった安心感。それと同時に、俺のものになればいいと思う支配間がぐるぐると渦を巻く。
それを隠すように俺は、彼女の緩く巻かれた髪に指を絡ましながら「そっか」と呟いた。
そんな俺の行動に更に顔を赤くして、ビクッと肩を揺らした。
…そんな可愛い反応、俺以外に見せるなよ。
そう心の中で呟いて、青に変わった信号機を見てからまた車を走らせた。
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