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その後、車内は無言で。
変に緊張させてしまったな、と若干後悔した。
あまり仕事上以外で話したことの無い上司に、いきなりあんな事を聞かれれば変に思うかもしれない。
そんな息苦しい沈黙を破ったのは以外にも彼女の優しい声色だった。
「あの…ぶ、部長は…どうなんですか?」
遠慮気味に聞いてくる声に自然と頬が緩んでしまう。
「俺?俺はいないよ」
視線を中山さんに合わせてその大きな瞳を見つめれば、一瞬で揺れ動いた。
「でも…」
「でも?」
「好きになっちゃった人ならいるよ」
すぐ目の前にね。
最後の言葉は言わなかったけど。
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