2005/02/10

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2005/02/10

  真っ赤なカバーの国語辞典を持ち出して『自殺』という言葉の意味にマーカーを引いた。 何種類ものカッターナイフを綺麗に並べて、自殺を失敗しないようにと書かれたマニュアルを開く。マニュアルの手首と頸動脈切りのページは何度も開いたせいで、すぐに開けるように型がついてしまっている。私は並べられた辞書、マニュアル、カッターナイフなどを少しの間眺めた。これから行う行為を考えると鳥肌が立った。 私の血液には常に薬が流れている状態。そんな血をこれから綺麗に出すのだ。ずっとある頭のクラクラと吐き気とも今日でおさらば出来るかもしれない。私はこれから死ぬ確率も低い死に方で死んでみせようと思う。準備もちゃんとしてある。遺書はこの真っ赤なカバーの国語辞典だ。お風呂は今沸かしている所なので沸くのを待っている。 じさつ【自殺】自分で自分の命を終わらせること。 別に数時間前までは全く死ぬつもりはなかった。前までは死にたいと考えていたけれど、最近、希望を見つけてちゃんと前を向くことを誓ったばかりだったのだから。じゃあなんで死のうと思ったのか? 昼のドラマを見ていた時だった。大人が物差しで子供を殴るシーンがあったのを私は見てしまったのだ。私は目の前が真っ暗になった。 私の母親がヒステリックに叫ぶ声と私を撲つ音、そして私の泣き声。 完全なフラッシュバックをしてしまった私は心臓に潰れそうなぐらいの重みを感じた。和らげようと紙に文字を書いた。パソコンで文字を打った。「撲たないで」「ごめんなさい」そんな事を書いている内に私の体内は酸素不足。気が付いたら気絶していた。 お母さん、生まれてきてごめんなさい。 夢を見ていた。昔の夢だ。幼い私が母親に生まれてきた事に対して必死に許しを請う姿が見えた。勿論夢の中でも母親は許してはくれなかった。認めてはくれなかった。代わりに「死ねばいいのに」という言葉を貰った。夢の中の幼いハズの私は何故かその瞬間今の私の姿になって笑い出した。 そうだ、死ななくちゃいけないんだ。 目が覚めた時、「死ななければいけない」という思いしかなかった。まず、お風呂を掃除して水を張って30分程沸かす設定をした。それから辞典とマニュアルを引っ張り出した。何種類かのカッターナイフを筆箱から取り出した。私の顔は鏡を見なくても解る。笑っていた。
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