2005/03/24

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  私はあんなに救われたのに、まだ幼かった私は彼を救う力なんてなかった。彼は独り悩んで苦しんで、そして死んでいきました。彼にはまだ生きていて欲しかった。生きるべきだった。生きて、そして傍にいて欲しかった。最後に私に言ってくれた言葉は、「いい子にして待ってなよ」でした。暫く会えないくらい遠い所に行くからと、そう言われました。きっと不安にさせるから、戻ってくるような嘘を吐いたんだと思います。私に吐いた最初で最後の大嘘。嘘って認めたくないんです。だって私は誠一君の言葉を信じて生きようって、決めたんだもん。けど、やっぱり誠一君は何年経っても帰ってきませんでした。 でもある時気が付いたんです。私が落ち込んでいると絶対に頭に浮かぶ言葉は全部誠一君の言ってくれた言葉だという事に気付きました。私はその事に気付いたとき嬉しくて仕方がなかった。誠一君は生きていると、誠一君の言葉はまだちゃんとこの世に残ってるって、そう思って嬉しくなった。そうだ、もう言葉は貰えないけど、残った言葉は消えずに存在している。私が生きている限り、誠一君は誠一君が残した言葉の中にちゃんと、存在している。 正直に生きて。 彼も、そう言いました。 生きてていいんだ。恐くなる必要なんてないよって教えられた気がします。 お礼を言わなくちゃ。ありがとうございます。って。
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