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―数年後―
女兵士「くっ!!…駄目だ…このままじゃ……逃げなければ…」
女兵士の前には兵士達の死体が転がっている…
女兵士「何故?!…魔術が使えないっ!!…」
兵士「女兵士さん!!…ひどい傷です!」
女兵士「くっ…ここまでなのか?」
女兵士は目の前の巨大な魔獣を見上げる…
魔獣はまるで目の前にいる人間など視界に入っていないかのように遠くを睨んでいる―
女兵士「ははっ…雑魚など気にも止めていないか…ははは」
兵士「女兵士さん、喋らないで下さい…傷が開きます、」
女兵士「生存者は?」
兵士「…アナタと私を含め5名です。しかし全員が負傷しています…私の魔力も残り少ない、残念ながら絶望的です…」
女兵士「そうか…ならばこの身奴にくれてやろう…少しでも奴にダメージをっ!!」
そういって女兵士は武器を構える…
兵士「……そうですね、私も残りの魔力をすべて奴にっ!!」
兵士の周りに魔力が渦巻いていく…
?「《重力》-グラビディ-」
兵士「なっ!!」
集中が途切れたのか魔力が散っていく―
それは女兵士も同じであった、力が抜け腰を抜かしている…緊張の糸が途切れたのであろう、それほどまでに圧倒的に、破壊的に、絶望的に、その男は現れたのであった…
?「………………」
口が動いている、何かを言っているのだろう…しかしそれは魔獣の悲痛な断末魔によってかき消されていった―
次の瞬間、その男は姿を消した…
女兵士「…今のは…?」
兵士「…さぁ?」
女兵士「…私達は助かった…のか?」
兵士「……………さぁ?」
女兵士「…取り敢えず生存者の確認を、…」
兵士「はっ!」
比較的軽傷な兵士はぎごちない歩みで生存者の元へ行く
女兵士は考える、最近の魔物、魔獣の被害増加…それに、あの男…私達帝国騎士団の精鋭部隊が一蹴りされた魔獣をたった一発…それも初歩的な魔術一発…あの力が帝国に向けられたら…考えたくもない…………あぁ…駄目だ……眠くなってきた…
兵士「――!――――サン?!!―――――!!」
兵士が何か言っているのだろう…微かに声が聞こえる…
おいおい…泣くなよ…お前はよく頑張ったよ…こんな自分の部隊も守れないような隊長にずっとついてきてくれて…最後の我が儘を聞いてくれないか?…眠たいんだ…寝かせてくれ…………
……………
―世界が滅ぶまであと3日―
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