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第1話
彼は髪の毛と目の色が綺麗な緑色をしていた。
最初僕は彼はちょっと変わった趣味とセンスを持つ不良で、染髪し、カラコンをいれてるんだと思っていた。
でもそれは間違いで、グリーンヘッドにグリーンアイズというのが彼の地だった。
ではなぜ彼がそんな色をしているかと言えば、それは彼が植物人間であるからに他ならない。
皆様初めまして今日和。
僕の名は重枝 尚登(しげえだ なおと)2年生。
クラスでは学級委員長をしてるだけで、それ以外は至って極普通の男の子。
さてある春の日の朝の事、ちょっと…いや、かなり変わった転校生が僕のクラスにやってきた。
たぶん僕だけじゃないと思うけど、僕は生まれて初めて頭から花を咲かせた人を見た。
彼は緑色の頭髪の一部にピンクの花と蕾を付け、緑色の目をした、かなり変わってはいたが美少年だった。
担任は黒板に桜木 草太(さくらぎ そうた)と書き彼を紹介し、僕の隣りの席に座るように言った。
彼は一礼し、挨拶も無く席に着いた。
彼の容姿は誰が見ても妙だったが、あんまりにも普通に教室にいて、あたり前に授業を受けているので、クラスの誰もが気にはなっていたが、話しかける者は一様にいなかった。
4時限目の授業が終わっても彼に話しかけるというか、近付く者は相変わらずいない。
しかし、皆いつもならば即ささと購買に行ったりするのに全員が僕と彼を残して、その回りを距離を取って丸く囲っていた。
皆は無言で僕を見ていた。
無言だったが、皆の言いたい事は聞かずとも分かっていた。
しかし、なぜいつも嫌な役回りを学級委員長の僕がやらなくてはならないのか疑問だ…。
そういえば僕の隣り以外にも他に開いた席があったのに僕の隣りに座るよう指示した先生も実は、さりげなく僕に責任を押しつけた一人だったのだなとか、今更ながらに気付き、僕は彼に話しかける最初の一言をフル回転で考える中、自分の気弱な責任感を呪った。
さて今、僕と彼に集中がピークに達した。
そして、僕はピリピリとした空気を背中に感じながら彼に声を掛けた。
『え、えっと…桜木君は…その植物人間なのかな…?』
僕の言葉にクラス中が静まり返った。
〔委員長それは、あまりにストレート過ぎだろ!!〕
神経が研ぎ澄まされているからなのか、皆の心の中の激しい突っ込みまでが聞こえて来る気がするが、転校生は変わらぬ無表情で答えた。
『あぁ。そうだ。』
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