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「俺、レオ。竜崎玲音。」
いやいや。
誰も聞いてないし。
相変わらず、ずっと笑顔。
昨日の夕方とは大違い。
なんなの?本当にもう。
「お前は?」
やっぱり。
嫌いだ、男の人は。
でも仕方なく、名前を言った。
「仲川沙奈。」
顔を合わせたくなくて、窓の方を向いて話す。
何にも反応がなくて、玲音の方を向く。
すると、私の顔をじっと見つめていた。
「何?」
すると玲音は、見つめながら少し笑った。
「なんだ。色んな表情持ってんじゃん。」
当たり前じゃん。
私、人間だよ?
ただ・・・
表情を心の中に閉じ込めただけ。
封印しただけ。
あんなの、もういらない。
「持ってない。この一つの表情だけが、本当の私。」
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