序章【深い傷痕】

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ドキドキしながらもゆっくり相手に近寄り、肩を揺する。 「美鈴(ミスズ)姉!!起きて!!」 「んにゃ…」 しかし美鈴姉は寝返りをうつだけで目覚めない。 「朝だぞ!!起きろ!!」 相手を強く揺すりながら少し怒鳴り気味に言う。 すると美鈴姉は目を覚ました。 …俺の腕を掴みながら? 「ん?」 と声を上げたときにはもう遅い。 美鈴姉に引っ張られるまま、俺はベッドに引きずり込まれた。 「ちょ…離せ…!!」 「裕君おはよー!!」 人の話を聞きやがれ!! じたばたともがくのだが一向に離れてはくれない。 むしろさらに強く抱きしめられるわけで… 「どう?お姉ちゃんの胸は?」 「言うなよ!!意識しないようにしてたのに!!」 「え?直接がいいの!?」 「そんなこと言ってない!!」 「んふ…裕君、寝汗かいたでしょ?裕君の匂い~♪」 まず会話が成立してない!! それとなぜ寝汗かいたってわかるんだ!! 匂い嗅ぐな!!変態!! …なんて言葉、女性に吐けるわけもないので、黙っているしかなかった…
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