二章 ~過去~ 郊外の農村にて

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ルクレツィア一家はこの村の異分子だった。 父親はとある下級貴族の従者を勤めていが、母親の体調不良によって静養がてらこの村に移り住んだのだ。その時に今住んでいる家も、小さな農場も、山羊二頭、牛一頭、鶏を十羽一括で支払った事で地主でもある村長に気にいられた。 一家全員が読み書きできる事で街に働きに出た娘や息子からの手紙の代筆や、教会への書類代筆を任され、母親は薬草に詳しく、薬は医者にかかる金などないこの村で重宝されていた。 今はもう両親共に荷車の事故で亡くなっている為、家畜の世話、小さな畑の世話、薬草園の管理に薬精製、代筆はルクレツィア一人で行っている。人手が足りないが村人はあまり、彼女には積極的に声をかけたりしない。若い娘がいるなら余計に。 ルクレツィアのような知識を持つ女性になって欲しくないからだ。彼女の薬を利用し、彼女に知恵を借りて教会への書類を作成し、代筆までさせているにもかかわらず。 彼女に友人として声をかけるのはミクだけ。 それもあり、ルクレツィアは年の離れた妹のようにミクを可愛がっていた。
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