2012、なな

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たゆたう、とはいいものだ。 僕はふぅわふわ、漂いながら、思った。 多分、死んだ。 いやだって記憶ないし。 物事全てに多分がつく。何故って、覚えてないから。 もうそろそろ転生しそうな予感に、身を震わせる。 死んだかどうかもあやふやだけど。 ぽんっ、と音がした。 漂う身体を必死に留まらせて、僕は見る。 緑とか赤とか青とか黄とか白とか――色んな色が凝り固まり型に押し込んだ有彩色まみれの人影がいた。 「やあぁ」 変なエコーの掛かった声で挨拶された。 気さくそうに手を上げられても困る。
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