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「きみぃは、転生ぃしたいかぁい?」
「そりゃあ、もちろん」
たゆたうのもいいが退屈だ。
もう一度、下に――下界に人として生きれる。
なんとまあ、幸せな。
「そうかあ。ふぅん。では、下界は悲しいことがたくさんあるなぁ?」
「あぁ、戦争とか」
同じ人同士で争う戦争は、何だか醜いなぁ、と思ってしまう。
「呻きやぁ、嘆きやぁ、叫びやぁ、悲しいことが聞こえたら、嫌だろう?」
まぁ、ね。
思わず僕が呟くと、有彩色の人影はけぇらけら、笑った。
「聞こえなぁく、してやろか?」
「……………」
「悲しいのはぁ、嫌だろうぅ?」
「………」
人影は次々に色々言った。
肉親が倒れるのは悲しいから、嫌だろう?
瞳を、無くそうか?聞こえなくしてやろうか。
血の香りはいやなものだ。どうしようもなく、泪が溢れてくるから。
鼻を弱くしてやろう。そうすれば血溜まりの中でも笑えるさ。
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