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雨雲が月を覆い隠し、月の代わりに雨とともに雷鳴の光が辺りを照らし出す。
雨が降り注ぐ中一人の男が傘もささず右手に雨で濡れた花束を持ち立ちすくんでいた。
男の容姿は長身でやせ細っていて、長めの黒髪をたくわえている。顔は雨に濡れた黒髪のおかげで目の辺りまで隠れているが片目が髪と髪の間から覗かせている、その表情はなにかを思い詰めたような表情だ。
「あぁ、先生……」
男は低めの声でなにかに呟く。
男の顔からは雨なのか涙なのかわからないが水の雫がしたたり、表情は変わらない。
すると
もう一度雷鳴が鳴り響くと、辺りは一瞬光が照らし出す。
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