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雷の光で男の周りに姿を現したのは墓石の集合地つまり墓地だった。
「先生…わたしは……」
と男は低い声をこの墓地の中で一番大きい墓石に向け、膝を地面につき両手を合わせながら黙祷する。
雨が降り注ぐ…
まだやみそうにはないそれでも男はその場から動こうとせず両手を合わせ目を閉じている、墓石には『永年2023年城島 昭人ここに眠る』という文字が掘り残してあった。
「先生…わたしは先生の意志を終わらせるわけにはいかない…先生の意志はわたしが受け継ぎますなので先生はここで眠っていてください……必ず約束します」
と男は黙祷をやめ、濡れた花束を墓石の手前に置き
「さようなら先生…また来ますね…」
と雨に濡れた長めの黒髪を揺らし墓石を立ち去っていった。
雷鳴の光とともに………
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