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「何なら…今すぐキスしてやってもいいんだぜ?」
また唇を撫でて嫌な笑みを浮かべながら言う
途端にあの時の慎吾を思い出していよいよ体が震え出す
「ククッ…怖いか?」
また先程と同じ質問をする
「…っ」
「……冗談だ。さっさといけ」
パッと手を離し無理矢理俺の体を反転させ教室から追い出した
「っは!はぁっは…はぁ…」
立っていられずその場にしゃがみ込んだ
怖い
怖かった
怖かったよこんちくしょう
あれだな
何年経っても体が覚えてしまった恐怖は拭えないな
「でも……違うんだよなぁ」
なんかあの時とは雰囲気が全然違うんだよ
確かに怖い
でも優しい
この変化についていけない
「……あーっ!!!」
頭を掻きむしり体育館へと走り出す
今考えたってしょうがない
帰ってからにしよう
「俺ってポジティブ~…」
はぁ。悲しいね~
「あ、力っ!」
小声で俺を呼ぶ剛史に気付き笑顔で答え隣に座る
ちゃんと笑えてるかな
そう思っていると蓮に頭を撫でられた
蓮のほうを見ると真っ直ぐ前を見ていた
やっぱりバレバレか
ちくしょう
目の前が霞んでくるじゃねぇか
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