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「……っ!!冷たっ!!」
指の隙間から、得体のしれない液体が顔にかかった。
一瞬で現実に引き戻され、私は上半身を起こした。
《ジジッ……》
見上げた空を横切ったのは、さっきまで何処かで哭き騒いでいた蝉の姿だった。
「……しょんべんかよ。」
どう考えても、それ以外の液体は思い付かない。
……シュルッ。。パシッ!!…………カランコロン。
宙に舞わせた針剣が、何かを捕らえてコンクリートへと落下する。
「………罰、だね。」
独り言を呟いて、その針剣の先に捕えられた異物を口に運んだ。
……昆虫は、栄養の宝庫。特にこの時季の生命体は、やっぱり爆発しそうなエネルギーを蓄えているのだと、噛み砕きながら全身で感じていた。
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