ダイアドーム 南

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   「では7歳になった諸君に、これから杖とローブ渡すとしよう」  じじ様は杖をふり、右手にガラスでできた  足つきの金魚鉢のようなものを出す。  「この鉢がこれから、みなの側にいく目の前に止まったら  自分時計を外して鉢の中に投げ込むのじゃ」  ガラスの鉢を、そーっと床に置く  すると鉢が駆け出し子供たちの方に向かう。   一番端の子供から自分時計を入れていく。  すると、鉢の中が光り勢いよく杖が飛び出てくる  「ボーッとしとらんで、落ちる前につかむのじゃ」  じじ様の声に     その子供は、ビクッと反応し  慌てて飛び出た杖を掴み取る  「他の者も上手に杖を掴むのじゃよ」    ニコニコしながら、じじ様は次の子供を見て言う。  上手にとれた子もいれば  頭に落下した子もいる  最悪なのは勢いがよすぎて、天井・壁・床に  あたりまくる杖だ!  周りの人も当たらないように上手く避けなければならない。  杖は自分で掴まなくてはならない。  そうすることで、自分自身を制御できるようになる。  杖自身が、その者のココロを表す  とされている。  12人全員が、金属製の杖を手に取った。  一人の男の子が、杖を軽く振った。  すると黒い煙が上がりすごい音がした。  『ボフッ!!』    どの学年でも一人はいるのだ  待ちきれなく魔法を暴発させるやつが  私達の時は、ヒューがやった。    リルが思い出し笑いをしていると  なにかに、気がついたのか  ヒューが肩で私のことを押してきた。   「昔のあなたみたいで・・・フフッ」    ヒューは少し怒った表情で正面を向いた。    言うまでもなく、暴発させた男の子は  髪はボウボウになり、顔はすすだらけになっている。  「いかんのぅ~  魔法の基礎を教わる前に杖を振っては」  じじ様は、また杖を振り  その子に向け、雨降らしの呪文をかけた。    
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