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「す、すみません!トイレどこですか!」
こんな時のあたしのパワーはすごい。
156cmのあたしより20㎝は高い、ルイを抱え、トイレに駆け込む。
「大丈夫?」
「う~…ん」
「気持ち悪いなら出して!ほれ!」
「ご…ごめ…」
しばらくこんなやりとりが続いた。
…途中、あたしは母親か?30にもなって酒の飲み方知らないやついるの?
と少々腹立たしさも湧いて来たが、ルイの背中をさすっていたら、なぜか落ち着いて来た。
それはルイも同じで。
すっかりトイレとお友達になった私たち。
ふと目が合う。
「ふふふっ」どちらともなく笑ってしまった。
「もう…飲めないなら言ってよ」
「あー…ごめん」
「もう大丈夫?出れる?」「うん」
トイレの戸を開けようとしたあたしの腕が、グイッとひかれた。
「ひゃっ!」
変な声を出してよろめいて…次の瞬間…
あたしはルイの腕の中にいた。
最近体験してないドキドキが、あたしを包んだ。
お酒が入っていたけれど…場所はトイレだったけれど…
何かが始まるとしたら…
ココカラ…?
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