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「ありがとう」
ルイの言葉に
「あ、気にしないで。あたし、お酒だけは強いんだ」
「そうじゃなくて…」
あたしを包んだ腕の力がぎゅうと強まる。
「え?」
ドキドキし過ぎて息が止まりそう。うまく唾が飲み込めない。
「今日、来てくれて…ありがとう。俺、嬉しかったんだ」
「あ、そっちね」
こんな時、変に余裕を見せたい30女。
こんな状況で、素直に気持ちを打ち明けた彼が、何だか男らしく思えた。
トイレの中のこの状況、かなり恥ずかしい。
ここで余裕を見せようとしてるあたしが一番恥ずかしい。
重ねて、さっきのクラスの友人たちの言葉を思い出して、更に恥ずかしくなる。
30年も生きてくると、それ位はピンとくる。
「ルイはあたしが好きだったわけ?」
くるりと振り向きざま聞いてみる。(こうなりゃヤケよ!)
急に振り向いたあたしと目が合って、ルイはびっくりしていたけど
「うん、そうだよ」
にっこり笑って、ルイは答えた。
あんまりキラキラした笑顔だったからまたドキドキした。
この歳で、単純過ぎる自分の心臓が悔しい。
あれ?もしかして…
ココカラ?
え~い!どこからでもいいや!
そんな気持ちでトイレを飛び出す!
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