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「ですが上層ならどうでしょう? あそこでしたら地上にも近く、下級魔族しか存在しません。それでしたら、我々もユウ様一人をお守りするにさして労はしないと思いますが、どうでしょうか?」
シルヴァリオンが楽しそうにランスロットを見る。既に空になったカップを見つめながらあれこれ考えているようだが、やがて諦めたように
「……わかったわよ。そうまで言われたら行かない理由なんてないもの」
と呟いた。
それを聞いたユウは嬉しそうに顔に満面の笑みを浮かべている。
「やったー! ありがと、ランスちゃん、シルヴァリオンさん。ようし、折角だからお弁当も持って行こうっ。シルヴァリオンさん、お願い」
「はい、お安い御用です」
「……散歩じゃなかったのかしら。これじゃピクニックね」
ユウがシルヴァリオンの手を引きおそらく厨房へと連れて行っているのを見ながら、ランスロットはこの日初めて専用の椅子から腰を上げ、めんどうだめんどうだと言いながら外行きの服装に着替えを始めた。
その表情には呆れと、微笑みが浮かんでいた。
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