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ランスロットは正直、この元気な少女─ユウを外に連れてはいきたくないのだ。
彼女たち人外とは違い、ユウは本物の“人間”なのである。
自身で魔力を精製できる魔物たちと比べ、人間は触媒がなければ満足に魔力を練ることすらできない貧弱な存在である。
彼女のようなか弱い人間が凶暴な魔物ひしめく迷宮に迷い込んでしまったら、あっという間に餌食になってしまうのだ。
それを知ってか知らずかユウは落ち着いていられないといった様子で
「知ってるよ、そんな事。おっきい魔物がいっぱいいるんだよね」
「そう、外はとても危険なの。知っているなら、大人しく屋敷にこもっている事ね」
「でもでも、ランスちゃんが私を守ってくれるから安全だよ!」
「……っ。全く……」
守る方の身になってほしいものだと思いながら、どうやって言い聞かせたものかとランスロットが頭を悩ますと、それまで笑顔で話を聞いていたシルヴァリオンが話し始めた。
「わかりました。話を整理しましょう」
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