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リビングに残された政司は、怒りが収まらず家具に当たり散らしていた。
手に触れるものをすべて投げつけ、ソファーを蹴り倒した。
すると、背後から「ゴミ、ニンシキ」と掃除機の音声が聞こえた。
こんな夜中まで、と政司は忌々しく思った。
だが、次の瞬間彼は絶叫した。
掃除機が、他のゴミを吸い込みながら足元まで来たかと思うと、政司の足の指にチタン合金の刃をめり込ませて引き裂き吸い込み始めたのだ。
「ぎゃああぁぁぁ!!」
鮮血が飛び散る。
痛みとショックでよろけた政司を追うように、掃除機が近づいてくる。
「クズ、フヨウ、ニンシキ」
「ゴミ、フヨウ、ニンシキ」
掃除機は、鮫の歯のように並んだ刃を光らせて、政司を追い詰めていった。
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