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覚醒と熟睡の狭間──要するに夢の世界とやらは、なにやらなんでもアリらしく、たとえば、クラスのかわいい女子の裸が、それこそ夢みたとおりの姿で現れ、たとえば、ホラーゲームをしたあとには、ゾンビに追いかけ回されあと一歩、というところで場面が入れ替わったり……もっとも、そんな世界に旅立つ回数自体が少ないのだけれど。
けれど、それは突然に、不敵に、大胆に、襲いかかってくるもので。
私は気付けば、現実と夢の境界が掴めなくなっていた。
学校で物理の授業を受けていたと思えば、次の瞬間、悪漢をナイフで切り刻んでいたり、また次の瞬間、公園のベンチに座りながら、好きな男の子と隣り合って線香花火の儚さを観察していたり。
けれど一つだけ。本当に一つだけ、わかってしまったことがある。
もう、それを経験できないという──覚醒できないという、現実。
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