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「フェンブレン殿、ありがとうございます」
「おう、請け負った仕事は必ずこなすさ」
塵へと還るゴブリン共を見て、村から村長が現れ俺に頭を下げる。 俺は砂を払いながら立ち上がると、剣をしまい胸を張った。
この村に来て2ヶ月。 俺は魔物1匹20ゴールドで仕事を受けていた。 そして、今日は4匹倒した事もあり、80ゴールドを村長から受け取った。
今日は豪勢に羊の肉と酒でも飲むか! なんて考えていると、金を払えば直ぐに去る村長が、まだそこにいた。
「どうした村長? もしかして、特別報酬でもくれるのか?」
俺は80ゴールドの入った皮の袋を握り締め、そう村長に訊ねる。 すると、村長はなんとも申し訳なさそうに背を曲げ俺を見上げてこう言った。
「実は、明日からは王国騎士団の方が村に来られて、警備をしていただける事になったのです。 ですから……」
国の騎士団は無償でその国の村や町を守る正義の軍団。 俺はそう言う騎士団が配属されていない場所でしか、価値がない。
そして、俺は小さくなる村長の肩を軽く叩き、笑顔を見せた。
「騎士団が来るなら良かったじゃねぇか! これで村も安全だ。 ……じゃ、騎士団が来る明日まで、世話になった恩もあるし、無償で居てやるよ」
「そうですか、それは心強い。 ありがとうございます、フェンブレン殿」
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