161人が本棚に入れています
本棚に追加
「フェンブレンさん、今いくら持ってるの?」
言葉を詰まらせ紙を見ていた俺を察し、マスターがそう訊く。 そして、俺は腰にある小さな鞄から皮の袋を取りだし、そこに入っていた金をテーブルへ出した。
「……1500、1600……1820だ。 しかも、今日飲んだ酒の支払いで1600ゴールドになる。 400も足りねぇ」
立ち上がっていた腰を下ろし、俺は金を袋へしまうと、再び酒を飲む。 すると、マスターは俺に何故か笑顔を見せていた。
「何だよ? 金が無いのは仕方ねぇだろ? 参加できないなら、諦めるしか────」
「────いや、諦めるにはまだ早い!」
俺の言葉を遮って、マスターがそう言うと、彼はポケットからおもむろに金を出した。
テーブルの上で踊るように散らばった金は、ざっと1000はある。
「くれるのか?」
恐る恐る訊ねた俺に、マスターは胸の前で腕を組み首を振った。
「それは投資さ。 バトルロード、突破出来ても出来なくても、倍にして返してもらう。 まぁ、少し多目にあるのはそこへ行くまでの旅費みたいなもんだ。 ……フェンブレンさん、いっといで!」
最初のコメントを投稿しよう!