挑発

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  「フェンブレンさん、今いくら持ってるの?」  言葉を詰まらせ紙を見ていた俺を察し、マスターがそう訊く。 そして、俺は腰にある小さな鞄から皮の袋を取りだし、そこに入っていた金をテーブルへ出した。 「……1500、1600……1820だ。 しかも、今日飲んだ酒の支払いで1600ゴールドになる。 400も足りねぇ」  立ち上がっていた腰を下ろし、俺は金を袋へしまうと、再び酒を飲む。 すると、マスターは俺に何故か笑顔を見せていた。 「何だよ? 金が無いのは仕方ねぇだろ? 参加できないなら、諦めるしか────」 「────いや、諦めるにはまだ早い!」  俺の言葉を遮って、マスターがそう言うと、彼はポケットからおもむろに金を出した。  テーブルの上で踊るように散らばった金は、ざっと1000はある。 「くれるのか?」  恐る恐る訊ねた俺に、マスターは胸の前で腕を組み首を振った。 「それは投資さ。 バトルロード、突破出来ても出来なくても、倍にして返してもらう。 まぁ、少し多目にあるのはそこへ行くまでの旅費みたいなもんだ。 ……フェンブレンさん、いっといで!」  
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