1-3 バイオハザード - 発生 -

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「・・・!」 それは、もはや人間の原型を留めていなかった。 顔のほとんどが赤く染められている・・・血だ。 目は充血し、歯は赤一色だ。 「いや・・・!」 後ろで短い悲鳴が上がる。静香ちゃんの声だ。 それを引き金に、のび太の恐怖心が猛スピードで這い上がってくる。止めることはできない。 「アァァ・・・」 ママだったものは、立ち上がり、こちらへ向かって一歩進む。 「あ・・・あ・・・」 のび太は一歩後退する。 これは夢だ・・・そう・・・夢だ。悪い夢なんだ。目を閉じて、しばらくすれば、そこは自分の部屋・・・ 押入れにはドラえもんが―― 「アァァァァァァァ!」 「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 もはやのび太には何が現実で何が夢なのか区別ができなかった。 ただ、そこから逃げ出したい― その思いだけが、のび太の心を崩壊させた。 体を傾けながら180度ターン。そして分け目もふらずに走り出す。 誰にぶつかったのか、何にぶつかったのかも気にすることもなく、暴走列車のように無我夢中で走り続けた。 逃げたかったのだ、この区別のつかない世界から・・・ しかし、走り続けたといっても数メートルほどのことだった。 足がからまって、体が前に傾く。 しまった―― と思うのも束の間、彼の身体は思いっきり床に叩きつけられた。 「っ゛・・・!」 声にならない悲鳴を上げる。頭を打ったのか、酷い頭痛と耳鳴りがした。 意識が遠くなっていくのが分かった。このまま死んで―― いや、目が覚めるのだろうか? 今、台所では何が起きているのか分からない。 ドラえもん達はどうなったのか、ママは、パパは・・・・・・・・・・・・ そこでのび太の意識は途切れた。
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