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「俺の見立てじゃ、こいつは────人を殺すことに秀でてやがる。この組の、誰よりもなぁ。」
芹沢の言葉に、新見は息を呑んだ。
芹沢にここまで言わせる佐井の器をはかれなかったのだ。
新見が黙ったのを確認した芹沢の眼は、再び佐井に向いた。
「────お前、感情を何処にやった……?」
真っ直ぐ佐井を見る芹沢。適当にはぐらかす事が出来ないと悟った佐井は、徐に口を開いた。
「削ぎ……落としやした。」
「──成る程、馬鹿馬鹿しい……。」
嘲る訳でもなく、芹沢は笑った。それに怒りもしない佐井は何も言わない。
「新見よ、お前の所にこいつが来る時ゃ俺んとこにも来い。」
茫然とする新見に対して芹沢が言った。
「え、あ……はい!」
訳の分からない新見は、たじたじとなりながら答えた。
新見の返事を聞いた芹沢は満足気にその場を去った。
「お前……芹沢さんに気に入られた──ってことか?」
立ち去った後も尚、存在感を残す芹沢に圧倒されながら新見は佐井に訊いた。
「さぁ……、俺ぁ言われた通りにするだけです。」
そう言いつつ佐井も内心困惑していた。
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