五、 出張

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 芹沢は睨むわけではなく、近藤を見た。  しかし近藤はそれを見ないよう、目線を下に向けた。  ……それだけで芹沢という男には伝わった。近藤が、己を卑下していると言うことを。  それを知った芹沢は、不思議と怒りがこみ上げた。 「……近藤、お前は勝手に自分を見て、自信を無くしてるわけか。 ──なぜ、周りを見ようとしない! なぜお前に着いてきた同志を見ようとしない?」 「何故……何故私が周りを、同志を見ていないと言う……!」  芹沢の荒い口調に、思わず近藤も向きになった。 「──貴様はいつからそんな腑抜けになった! では何故お前の仲間はお前に着いてきたんだ? 同情か? まさか暇潰しとでも言いたいのか!」 「──違う! 彼等は決してそんな生温い覚悟で来てくれたんじゃない。 ……こんな私を信じて、着いてきたくれたんだ。」 「────そんな同志を、貴様は信じていないということになる!」  ……そこで、漸く近藤は気付かされた。 「お前等の信頼関係とやらがそんな簡単に消えるなら、──俺の検討違いだ……。」 「私は……、」  近藤は急に目の前が開けたようだった。 「……私は、──彼らの信頼に報いたい。」  その目には迷いはなかった。
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